Suno AIステム音源をMIDI化!Melodyne vs Ableton Live徹底比較

abletonvsmelodyne ソフトウェア/プラグイン

AI音源をどうDTMに活かすか

AIで生成した音源を実際の楽曲制作にどう活かすか?は、多くのクリエイターにとって気になるテーマではないでしょうか。

特にSuno AIのような音楽生成AIでは、有料プランでステム(パートごとに分かれた音源)をエクスポートできる機能があり、これをどう扱うかで制作の自由度が大きく変わってきます。

今回は、そのステム音源を「MIDIデータ」に変換してみました。

Shuhey
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MIDI化することで、例えばベースの音色を差し替えたり、フレーズを少し編集したりと、自分の楽曲に合わせて自在にカスタマイズできるようになります。

そこで本記事では、MelodyneとAbleton Live標準機能の2つを使って、ステム音源のMIDI化を試した結果を比較検証していきます。
「精度を重視するならどっちがいい?」「制作のスピード感で選ぶなら?」といった観点で、それぞれの強み・弱みをわかりやすくまとめてみました。

音源データを使用した比較もしていますので、ぜひ最後までご覧ください!

AI音源を実際の曲作りに取り入れてみたい方、ベースやメロディの打ち込み作業を効率化したい方の参考になれば幸いです。

Suno AIのステムエクスポート機能を試してみた

Suno AI ステム画像

まずは今回の出発点となる Suno AIのステムエクスポート機能 について。
通常、AIで生成された音源は1つのまとまったオーディオファイルとして出力されますが、有料プランに加入すると「ステム」として、ボーカル・ドラム・ベース・その他楽器といったパートごとの音源を個別に書き出すことができます。

これによって「ドラムだけ差し替えたい」「ベースだけ編集したい」といった柔軟なアプローチが可能になり、AI音源を“そのまま聴くだけ”から“自分の曲作りに活かす方向へと一歩踏み込めます。

実際にステムをエクスポートしてみたところ、各トラックはしっかり分離されており、特にベースやドラムはすぐにDAWに取り込んで使えるクオリティ。もちろん完全に生演奏のような分離感ではないものの、編集用の素材として使えるのではないかと思いました。

Shuhey
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ギターやキーボードなどのステム音源は、音割れ系の歪んだノイズが含まれていて、DAWで読み込んで聴くとかなり目立ち、今のところ(2025年8月)実用的とは言えなかったです。

今回注目したのはその中でも ベーストラック
ベースラインは曲の土台を支える重要な要素ですが、ゼロから打ち込むと意外と時間がかかる部分です。

そこで「このベースをMIDI化すれば、もっと効率的にアレンジできるのでは?」と考え、MIDI変換にチャレンジしてみました。

MIDI化の目的:なぜベースを打ち込み直すのか?

Suno AIからエクスポートしたステム音源は、そのままでも十分に使えるクオリティですが、「きれいな音質」とはいえないかつ、「もっとこうしたいな」と感じることが多々あります。
特にベーストラックについては、次のような理由からMIDI化するメリットが大きいと考えました。

1. 打ち込み作業の短縮化

ベースラインを一から打ち込むのは意外と時間のかかる作業です。

AIが作ったベースラインをMIDIに変換すれば、そのまま参考にしたり、必要な部分だけ修正したりするだけで済むため、大幅な時短につながります。

2. 音色の自由な差し替え

オーディオのままではベースの音色を変更するのが難しいですが、MIDI化すればソフトシンセや別のベース音源に差し替えるのが簡単
曲のジャンルやアレンジに合わせて柔軟に対応できます。

3. フレーズの編集やアレンジが容易

リズムを少し崩したい、グルーヴを強調したい、音程を変えたい――

そうした調整もMIDIなら数クリックで可能です。オーディオ編集より圧倒的に自由度が高く、制作効率も上がります。

MelodyneでMIDI化してみる

Melodyne MIDI

まず試したのは Melodyne。
ピッチ補正やボーカル編集の定番ソフトとして有名ですが、実はオーディオデータを解析して MIDIデータに変換する機能 も備わっています。

Melodyneの仕組みと特徴

Melodyneは音声を細かく解析し、音程やリズムを“ノート”として視覚的に表示してくれます。これにより、ベースやボーカル、ギターなどの演奏をMIDI情報に変換することが可能です。特にメロディや単音楽器の解析精度には定評があり、細かいニュアンスまで拾ってくれます。

実際にベースをMIDI化してみた結果

midi 1
細かく分割されているがゆえに編集しづらさが残る。ベロシティは一定にしました。

AIが生成したベーストラックをMelodyneに読み込ませると、音程や長さがしっかり検出され、精度の高さはさすがMelodyne。

ただし、その分 細かすぎる情報が入ってしまう のも事実です。
例えば、わずかなベロシティや音価の揺れまでMIDIに反映されるため、そのままシンセ音源に差し替えると「意図しないところでリズムが崩れて聴こえる」こともありました。

Ableton Live標準機能でMIDI化してみる

ableton midi slice
Live 標準のMIDI変換機能

続いて試したのは、Ableton Liveに標準搭載されている「オーディオをMIDIに変換」機能です。
Melodyneのように別途ソフトを導入する必要がなく、Liveユーザーならすぐに使える点が大きな魅力です。

Ableton LiveのMIDI変換機能とは

Liveには「Harmony(和音)」「Melody(単音)」「Drums(リズム)」といったモードが用意されており、オーディオクリップを右クリックして選ぶだけで、即座にMIDIトラックへ変換してくれます。シンプルながらも用途に合わせて選べるのが便利です。

実際にベースをMIDI化してみた結果

midi 23
Melodyneに比べて、入力が控えめ

ベーストラックを「Melody」として変換したところ、音程やリズムがしっかり検出され、驚くほどスムーズにMIDI化できました。Melodyneほどの精度はありませんが、必要十分な情報がきちんと抽出されている印象です。

特に良かったのは、元のグルーヴ感がある程度そのまま残ること。AIの演奏ニュアンスを活かしつつ、自分のシンセ音源に差し替えられるのは、制作スピードを意識する上でかなりありがたいポイントでした。

Shuhey
Shuhey

これくらいならクリック編集で打ち込みもだいぶ楽になりそうですね。
ステムを使えるなら楽したくなりますよね。笑

実際の音源を比較してみた!

以下の音源データは、Suno AIからエクスポートされた「ステム音源」「Melodyne」「Ableton Live」の音源を用意しました。
是非、参考にしてください。

MIDIに使用した音源は「SCARBEE MM-BASS」です。

Suno AI ステム音源

Melodyne MIDI変換+音源

Ableton Live MIDI変換+音源


まとめ & 今後の展望

今回、Suno AIでエクスポートしたステム音源をMIDI化し、MelodyneAbleton Live標準機能の両方を使って比較してみました。

結論としては、

  • Melodyne
    精度が非常に高く、細かいニュアンスまで忠実にMIDI化できる。ただし情報量が多すぎ、意図した形にするには手間がかかる。
  • Ableton Live
    変換精度は必要十分で、しかもグルーヴ感が残りやすい。手軽に扱えて制作スピードを落とさない。

MelodyneとAbleton Liveの比較表

項目MelodyneAbleton Live
精度非常に高い(細部まで拾う)必要十分、グルーヴ感も残る
使いやすさ細かすぎて手直しに時間がかかるワンクリックで直感的
編集工数高め少なめ
向いている用途プロ的な精密編集アイデアスケッチや制作スピード重視

というように、どちらにも強みと弱みがあることがわかりました。

僕自身の制作フローでは「素早くベースを差し替えたい」という目的が大きかったため、Ableton LiveのMIDI化のほうが合っていると感じましたが、よりプロフェッショナルな精密編集を求める人にはMelodyneも有力な選択肢になるでしょう。

今後の展望

今回の検証は「ベースライン」に絞って行いましたが、今後は以下のような実験もしてみたいと思っています。

  • ドラムトラックのMIDI化:リズムパターンを抽出して、自分の好みのドラム音源に置き換える
  • コード進行の解析:AIが作ったコードをMIDI化して、別の音色やボイシングに展開
  • メロディやボーカルのMIDI化:シンセに差し替えたり、ハーモニーを作ったりして活用

AIが生み出す音源をただ“完成品”として聴くだけでなく、制作の素材として活かす発想は、これからの音楽づくりにおいてますます重要になっていきそうです。

今回の記事が、みなさんの音楽制作のアイデアのきっかけになれば嬉しいです。

Shuhey

モテたくて始めたギターとブラックコーヒー。気づけばモテそっちのけで音楽沼へダイブ。
バンド、弾き語り、路上ライブを経て、社会人になってもDTMでひっそり音楽を続ける日々。友人にDTMを布教するも次々と脱落し、気づけばひとり…。音楽を語りたいのに相手がいないので、せめてブログにぶつける30代前半男性。

島村楽器主催のアコパラ2019で「soloel」としてグランプリ受賞。

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