遊牧民的なDTM活動へ
DTM(デスクトップ・ミュージック)を始めて数年。
気がつけば、部屋の一角を占拠するような大きな机に、
MIDIキーボード、スピーカー、オーディオインターフェース……
すっかり「定住型」スタイルが板についていました。
モチベーションを高めるために、デスク上のアイテム配置にはとことんこだわり、
ケーブルの色・長さ・形に至るまで計算し尽くした、“自己満足の極み”とも言えるデスク環境を
――手放しました。
それには、大きな人生の転機がありました。
そう、私、父になったのです。
二人で暮らすには十分だった2DKの部屋。
一部屋を「DTM部屋」と称し、ほぼ自分専用とも言える大きな机を構えていましたが、
子どもが生まれたことで、すべてが一変しました。

父上、もうあなたの時代は終わったのです。
消え去るときは一瞬
仕事に追われる毎日。
平日の夜は帰宅してバタンキュー、DTMに触れるのは休日くらいの頻度。
そんな状況で、部屋の大部分を専有するDTMスペースが、いかに非効率で非合理的か――
部下を持つ年齢にもなれば、自然とわかってくるものです。
「善は急げ」とばかりに、爆速でDTM机を解体。
未練を残さないよう、一心不乱に片づけました。
そしてその結果――
写真を撮り忘れた…

ここから机は姿を消し、PCは共用スペースの机へと移動。
オーディオインターフェースとスピーカーはリビングへと引っ越し、今では音楽鑑賞用として活躍しています。
ノートPCで飛び回れ
これでDTMを辞めたという意味ではなくて、
子育てとDTMを両立するために、活動スタイルを“変えた”のです。
今の暮らしにフィットする形へと、シフトチェンジ。
そして机がなくなった今、頼りになるのはノートPC。
もともと自宅の外で録音する用途で持っていたノートPCを、
今後は“部屋中を移動しながら”使うことにします。
リビングでも、寝室でも、子どもが寝静まったあとのちょっとした隙間時間でも音楽制作ができます。
幸いなことに、今はDAWもプラグインもかなり軽量化されていて、
ノートPC一台でほとんどの作業がこなせてしまう時代です。
打ち込みなら、ミニ鍵盤やパッドで十分だし(もってないけど、)
ミックスもヘッドホンで良いでしょ(プロでもないし…)
と言い聞かす。
むしろ、DTM机を手放して、どこでも作れる環境にしたほうが合理的である説を唱えたい。(負け惜しみ)
そう思ったのです。
基本的に父は邪魔である
一度でも父親というジョブを経験したことがある方ならお分かりいただけることでしょう。
育児環境下において、父の家庭内ヒエラルキーは極めて低いです。
母はすごい。赤ちゃんが生きていくための免疫を己の体から母乳として絞り出し、与えることができます。
あかちゃんは天使。生きてるだけでかわいい。それでいい。
父、何もできない。
父が育児としてできることは、せいぜいゴミ出し、洗濯、洗い物に掃除、寝かしつけがやっとであり、しかもそれは、父でなくても良いのです。
ロボットに任せることもできるし、実家の母や義母が手伝ってくれれば父はお役御免。
ただ、お役御免になってはいけません。
父は、何かをして家庭に貢献しなければ、今後の社会的、家庭的地位に傷がついてしまうことでしょう。
そう、私は何かをして家庭に貢献または、意思表示が必要だったのです。
DTM部屋なんてもってのほか
子供が生まれるということは、家庭内の人数が増えるということ。
当たり前ですが、子供が使用するアイテムが急激に増えます。
ベビーベッドにマット、おもちゃ、おむつなどの生活用品等、年齢に比例して物が増えていくことでしょう。
そんななか、相も変わらずのうのうと、いけしゃあしゃあにDTM机を広げた機材を眺め、酒を飲むだけの日々を送ることができるだろうか。否。
父にDTM部屋はトゥーマッチです。
特に関東首都圏近辺で住まう、年収平均水面下の家庭には必要ありません。
DTM部屋を畳むことは、私なりの父としての姿勢でした。
音楽活動自体を煙たがられないようにすべき
現実問題、一番恐れなければならないのは、音楽活動自体を疎まれること。
「場所がー、時間がー、」と言われている分にはまだ良いほうで、「音楽をやめてくれ」と言われてしまってはすべてがおじゃん。
だからこそ、物理的にも精神的にも“場所を取らない”のがベスト。
父として育児に積極的に参加しながら、これまでの趣味を継続していく。
そのための工夫はなんだってするのです。
おわりに
というわけで、これまで機材を眺めるために構築してきたDTM机を取っ払いました!
正直、まだ片付けが終わっていなくて、DTM活動どころじゃなく…
今後も音楽活動、DTMを続けることができるのかどうかはわかりませんが、
父の新しい音楽活動の幕開けということで、温かく見守っていただければと思います。
すべての子育て世代のDTMerパパに幸あれ!
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